初めて推しにお便りが読まれた話
『吉岡茉祐のマユ市立 吉岡高校 通信科』第25回での出来事。
放送が始まり、いつも通りお便りコーナーがスタートする。
初めてお便りを送ったが、内心読まれる訳はないと思いつつ、密かに期待はしていた。
ただ、期待と裏腹にというか、当然というか、送ったメールが読まれることなく、ゲームコーナーが始まる。
お便りのことは忘れ、ゲームコーナーを楽しみ、おまけ放送が始まる。
おまけ放送の最初にお便りが読まれるコーナーがあるが、この時点では、もう全く期待はしていなかった。
自分のものが読まれるかもしれないという警戒が、限りなくゼロに近づいた頃、不意に自分のペンネームが読み上げられる。
一瞬何が起こったか分からない。
脳は意味もなくフル回転するが何の答えも出せず、心臓の拍動は際限なく加速を始める。
機能停止寸前の脳は、読まれている内容が自分の送ったものであるということのみはかろうじて認識する。
メールに対する回答の際に、いきなりハンドルネームで呼びかけられる。
完全に思考は停止し、心拍数は体感で200を超える。
落ち着く暇もなく、ダミヘを使った企画が始まる。
視聴者から募ったセリフを言うものであるが、こちらにも、自分が考えたセリフを送ってある。
正直、会心の出来だったが、ふつおたが読まれてしまった以上は、セリフの採用は無いと思っていた。
しかし、こちらも期待していないといえば嘘になるため、ソワソワしながら聴いていた。
自分が送ったテーマに近いものが読まれたため、似たテーマのものは読まれないと思い、諦めの感情が渦巻いてきた頃、再度そのテーマに関するセリフが読まれる。
また、期待度が上がり、続きものとしてもう一通読むと言われたとき、自分の送ったセリフが頭をよぎる。
ペンネームが呼ばれ、セリフが読まれる。
紛れもなく、自分が送ったものである。
軽くパニックになり、心拍数も上昇する。
体感で300を超えた。緊張と嬉しさで軽く吐きそうである。
実は、夢の中かも知れないと疑い始める。
これは、現実か。
放送終わりにタイムシフトで、読まれていたことを改めて確認する。
お便りを送って良かったと心から思う。
とりあえず、生きてて良かった。